緩和ケアとは、治すことが難しい病気を抱える方とそのご家族に対して、痛みなどの苦しい症状、つらい気持ち、さまざまな社会的問題に対して、病気が診断された時から医療者が関わり、生活の質を改善するアプローチのことです。
平和会吉田病院が開院したのが1928年(昭和3年)の事でした。以来私たちは憲法で保障された健康で文化的な生活をする国民の権利を尊重し、地域の人々や友の会と協力して安心して暮らせるまちづくりを目指し、地域の皆さまに「私のための病院」と感じていただけるように80年以上医療・福祉に尽力してまいりました。
平和会は吉田病院はもとより、各診療所・訪問看護ステーション・支援センターは、この長い歴史の中で地域のたくさんの方々の人生に寄り添ってきました。その根底には医療者としての揺るがない想いがあります。それは「病気になっても、住み慣れたこの地域で、自分らしく生ききることを支えたい」という想いです。
病院で最期を迎えるのが当たり前になったのは近年になってからです。国の医療制度の流れで長く入院できなくなり、病院も選べなくなったのはさらに最近の流れです。私たちは「自宅で亡くなるのが当たり前」だった時代から「病院で亡くなるのが当たり前」の時代になってからも変わらず、自宅でも病院でもより良い最期を迎えられるように今を生きる皆さまのお手伝いをしてきました。
そしてまた「病院から自宅へ」の流れの中、私たちはこれまで以上に地域の皆さまと共に人生を歩めるように開院当時より培ってきた技術や想いを、地域緩和ケアという形で提供いたします。この地域でよりよく生ききることのお手伝いをさせてください。
緩和ケア研修会受講者:
「緩和ケア」は特定の病気だけの為にあるのではありません。様々な持病を抱え、その病気に伴う苦痛や社会的苦痛を可能な限り緩和しようというのが緩和ケアです。どのような病名であっても皆様等しく緩和ケアを受ける事ができます。お気軽にご相談ください。
詳しい検査が必要になる場合や、ご自宅で過ごすには難しい病状の時に入院しながらつらい症状を取り除く治療をします
診療所から訪問診療(往診)をさせていただき、出来る限りご自宅で療養できるようサポートします。自宅へ医師が訪問し、診察を行います。経過を把握し、お薬の処方や、適宜検査も行います。往診日は毎月スケジュールを組みますが、体調の変化はいつ起こるかわかりません。そのような場合や往診の対応についての詳細は各診療所又は地域医療相談室へお気軽にお問い合わせください。
ご自宅でつらくなく過ごされているか、定期的に訪問し、体調確認させていただきます。また、病状が変化した時や不安な症状が出現したときなども連絡いただけるよう24時間体制でサポートします(ご契約時の内容によって対応しかねる場合がございます)。体調チェックのほか介護では出来ない医療行為などの医療面でのお手伝いを行います。お伺いする回数は患者様の状態やご病気の時期によって様々です。使う保険も介護保険と医療保険と2種類ありますので、まずはお気軽に各訪問看護ステーション、または地域医療相談室へお問い合わせください。
ご自宅でご自身やご家族では困難な日常生活の様々な事を、介護士(ヘルパー)がご自宅へ伺いお手伝いします。お伺いするには介護保険が必要です(民間のサービスを使われる場合はこの限りではありません)。お買い物からお掃除・お料理・排泄や入浴の事など様々なお手伝いができます。訪問する回数も人により様々で、毎月スケジュールを立てますので、ご希望の場合は担当のケアマネージャー、または各訪問介護事業所か地域医療相談室までお気軽にお問い合わせください。
介護保険を使って介護サービスを使用されるとき、どのようなサービスが適切で、どの事業所がご本人さんにはぴったりで、保険が利く範囲内でどれだけのサービスが使えるのかなど相談に乗ってくれたり毎月のスケジュール(ケアプラン)の作成や各事業所との連絡役をしてくれます。介護全般の相談に乗る役割を担います。吉田病院にも各診療所にも支援センターと呼ばれるケアマネージャーの事務所があります。詳しくは各支援センター、または地域医療相談室までお気軽にお問い合わせください。
病気になったり介護が必要になったりすると、今までの生活とは変わります。今までなかったお困りごとが出てくるかもしれません。どのようなお困りごとにも相談に乗り、解決方法を一緒に模索します。社会制度やその他の困りごとを解決するツール(社会資源)を困りごとの解決につなげます。お困りごとがありましたら些細な事でもいつでもお気軽に地域医療相談室までご相談ください。
お薬についての相談を受け、医師との調整を行います。ご自宅に薬剤師が訪問し、お薬を内服しやすく整理等する、訪問薬剤指導もご利用できます。
緩和ケアって? | |
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当法人が考える「緩和ケア」は? | 疾患や、病気の段階を問わないこと 治すことが難しい病気を抱える方とそのご家族に対して、痛みなどの苦しい症状、辛い気持ち、様々な社会的問題に対して、診断された時から医療者が関わり生活の質を維持・改善するアプローチのことです。 |
当法人が提供できることを一つ一つ一問一答でお答えしていきます | |
【緩和ケア外来】 | |
緩和ケア外来を受けたい場合の手続きは? | 地域連携室の相談員、緩和ケア担当看護師に申し出てください。現在治療中のご施設から、「診療情報提供書」「画像」を依頼させていただきたいと思います。 |
緩和ケア外来の内容は? | 一人30分 完全予約制です。 水曜日 14:30~5枠 金曜日 15:30~3枠 ・症状で困っていることに対しての相談・対応 ・社会面で困っていることの相談・対応 ・治療に対して困っていることなどの相談・連携など ・どこでどのように過ごしたいかについての意思決定支援 ・精神的支援など |
対象となる方は? | 基本的には「がん」病名のある方としています。 しかしそればかりではありません。お困りの点は、地域連携室の相談員、緩和ケア担当看護師に申し出てください。 |
他の病院の治療中でも受けられますか? | はい、治療中の方も受けることが出来ます。 遠方まで治療をうけにいかれている方もおられます。 その方にとっては、「地域でのかかりつけ医」として、症状や副作用などで困ったこと、治療内容の変更や再発転移等病状の変化があった時の相談、これから治療効果がなくなったときでも生活に視点をおいて、生活の質を維持・向上させていくことが可能です。 |
がんと診断を受けました。 先生は標準的な治療を勧めてくださるのですが、なにも治療をせず、辛さだけとってもらえたらいいと思っています。そのような場合でも診察を受けることが出来ますか? |
はい、可能です。 ですが、「治療を受けない」と選択された時のお気持ち、「受けた場合はどのようになり、受けなければどのような変化が生じるのか」については、じっくり話し合って、納得されるうえで検討していくことが必要であると考えています。そのため診察時間をその相談時間とすることも多々あります。 |
抗がん剤の治療に、大きな病院に行っています。その先生に「緩和ケアを受けたい」となかなかいうことが出来ません。 このままでいいのか悩んでいます。 そのような相談もできますか? |
はい、可能です。 当院の緩和ケア外来は、治療を担当されている医師と連携を図りながら、あなたにとってより良い状態を長く維持できるように随時、連携を図っていきます。治療病院で受けていらっしゃる説明をどのように聞かれて、どのように受け取っておられるかをお聞かせください。治療そのものは治療担当の主治医が行っていかれますが、その背中を私たちは支える姿勢でおります。 |
抗がん剤の治療の効果がもうないと言われましたが、このまま今の病院に通い続けてもいいのでしょうか? | 今まで治療でお世話になってこられた先生とじっくり話し合われて、今後生活を重点的に考えてみようと思われ、通院が可能であれば「緩和ケア外来」にお越し下さい。 通院が困難であれば、ご自宅に医師や看護師が訪問することが可能です。 |
【緩和ケア病棟】 | |
入院したら、最期までお世話してもらえるのですか? | いいえ、私達が考える緩和ケア病棟は、「最期を迎える場所」という狭義で捉えてはおりません。つらい症状をとって、出来るだけご本人らしく生活をしてもらえるようにするための「とまり木」であると思っています。できるだけご本人の苦痛がとれましたら、慣れた地域での生活を大切にと考えています。ですが、それが叶わない状況など様々な理由でご自宅での療養が困難であれば、ご相談ください。 |
付き添いは自由にできますか? 付き添いは必要ですか? |
ご希望の方は、付き添いができます。 |
外出外泊はできますか? | もちろんです。外出、外泊の許可がある方は、可能です。 |
自宅退院を希望すれば可能ですか? | 自宅退院の希望があれば、申し出てください。入院中に在宅スタッフと作戦会議を一緒に行ってから自宅に戻ります。しっかりご希望をお聞かせください。 |
再度抗がん剤治療を受けたい、もしくは、他の治療を受けに他院に行きたいと思った場合はどのようにしたらいいですか? | 一度、退院されて通院が可能であると判断された場合には、抗がん剤を再度受けたい希望を治療病院と連携を図ります。しかし、抗がん剤がさらに症状悪化に繋がったり、生活の質を極度に脅かすのであれば、検討が必要です。 緩和ケア病棟では、抗がん剤治療はできません。専門の治療を希望される場合は他病院へ紹介させていただくこともできます。 |
金額はどのくらいになりますか? | 当院は個室料金をいただいておりません。健康保険を利用しての入院となります。随時、相談員にご相談ください。 |
できるだけ自宅にいて、入院したいと思ったときにスムーズに入院させてもらうことは可能ですか? | 次の法人内の連携を参照ください |
【法人内の連携】 | |
・できるだけ自宅にいて、入院したいと思ったときにスムーズに入院することが出来るように、自宅で生活している間も、当法人の往診・訪問看護の定期的な医療訪問でつながりを持っていただけることがよりスムーズに入院のタイミングを計ることが出来るのではないかと思います。 ・当法人は、診療所・訪問看護・訪問ヘルパー・介護事業所・吉田病院との連携があります。 それぞれと連携を行いながら、患者さんご自身、介護者であるご家族が必要なタイミングで病院との行き来を行うことが可能です。 ・緩和ケアチーム(緩和ケア医師・精神科医師・緩和ケア看護師・薬剤師・臨床心理士・社会福祉士など)の介入を行いながら、法人内の連携も図っていきます。 |
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【他施設との連携】 | |
今、治療病院で入院。さらなる治療はないと判断されていますが、いったんリハビリ、休薬をしましょうと言われました。 直接自宅に帰るか、転院かということを迫られてどうしていいかわからないのですが? |
その場合には、 ・治療病院での入院、外来通院治療などそれぞれの患者支援センターやサポートチームなどと連携を図り、スムーズな在宅への退院、吉田病院への転院などの調整を行うことが出来ます。 ・外来での治療を行いながらでも、緩和ケア外来への通院が可能です。 あなたの人生設計を十分お伺いしたうえで、よりよい方法を一緒に考えていく場です。 ・入院されているご本人、ご家族それぞれの病気の受け止め方、ご希望やこれからの想いを十分お聞かせください。そのうえで、病状も鑑み転院をしてもらってから、ご自宅に帰る準備を図るかどうかを一緒に考えていきたいと思います。 |